Bidomainモデル構築 - 心筋細胞モデル

 

心臓のフィジオーム―電気生理現象のシミュレーション 分子から臓器まで

心臓のフィジオーム―電気生理現象のシミュレーション 分子から臓器まで

心筋細胞モデルとは

心臓を構成する心筋細胞は、電気的興奮が細胞間を伝播することで駆動されています。そのメカニズムには細胞膜上にあるイオンチャネルが関与しており、その挙動を数学的モデルで説明したのが有名なHodgkin-Huxleyモデルです。

静止電位

細胞が興奮していない状態では、細胞内の電位は細胞外よりも低い状態(静止電位)に保たれています。これは細胞内の陽イオンを汲み出すイオンポンプの働きによるもので、細胞内外で各種のイオンの濃度差を生み出しています(分極)。この細胞内外の電位差を膜電位と呼びます。

つまり細胞外の陽イオンは細胞内に流入しようとしている状態なわけですが、静止状態ではイオンチャネルが閉じているために流入は起こらず、静止膜電位が保たれます。心筋の静止膜電位は約-80mV程度です。

脱分極と再分極

イオンチャネルは膜電位によって挙動が変化する性質があります。このイオンチャネルを開くトリガとなるのが外部電流です。細胞の外部から細胞に流れる電流によって膜電位が変化し、細胞内外の電位差が僅かにでも小さくなると、イオンチャネルが開き始めます。まずはNa+のチャネルが開き、Na+が細胞内に流入します。これは細胞内への内向き電流なので、膜電位は上昇し、マイナスが0に近づきます。するとその電位変化がトリガとなり、他のイオンチャネルも次々と開くことになります。ドミノのように連鎖的にイオンチャネルが開いて陽イオンが一気に細胞内に流入することで、細胞内外の電位差がなくなります(脱分極)。脱分極が起こると今度は外向きにイオンを流すイオンチャネルやイオンポンプが活性化しはじめて、最終的にはもとの静止電位状態にもどります。(再分極)

いやはや、うまく出来ていますね。

HH方程式

膜電位により変化するイオンチャネルの透過特性を数理モデルで表したものがHH(Hodgkin-Hulxley)方程式です。